そして 君は 恋に落ちた。


「あれ、髪染めた?」


「だいぶ前に」


色黒の肌にかなり明るい髪色だった林原だけど、しばらく見ない内にかなり身なりが変わっていた。

営業という仕事になり、あれだけ頑なに変えずにいた見た目は好青年風になって、心なしか、顔つきまで凛々しくなった気がする。



「頑張ってんな!」


「ははっ あんな色してたら仕事になんねーし」


笑ってるけど。でも、少し痩せたその姿に、ヤツの仕事に対する思いを感じた。




「……頑張ってんだな」



今度は、心から出た言葉だった。

その言葉を聞いた林原は少し照れたように笑った。



「松田は変わらねーな。相変わらずイケメンで。
 うちの部署内でもモテモテだぞ」


「あら、うれし」


「ははっ バーカ!

 ………あ、」



林原が俺の後ろにある食堂内に誰かを見つけたらしく、その呟きに俺も振り返った。


そこには、ちょうどトレイを持ち誰かを捜している瀬川さんがいた。

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