そして 君は 恋に落ちた。



「松田君もう時間が…」


先輩の緊張の声を無視し目的地まで無言のまま進む。

捕まれた手を振り払うことなくたどたどしくも後ろから着いてくる先輩。



「入って下さい」

「えっ ここって…」

「今日はこの部屋使われません。もう時間無いんで、早く」


俺は半ば強引に中に招き入れる俺に、先輩は戸惑いを見せながらも足を踏み入れた。




ここは、小会議室。

普段から鍵をかけておらず、ミーティングや小さな集まりに使われる場所だ。




「松田君…?」


見上げる先輩の瞳が揺れる。



……分かってるのかな。

それは男を煽るだけだって。



無言で見下ろす俺を少し怯えながら見上げる先輩に、欲情した。


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