そして 君は 恋に落ちた。



ハッ、と乾いた笑いが口から出た。



良かったよな。


あの二人はいつ付き合ってもおかしくなくて。
先輩が俺に“抱いて”なんて言ったのも、ただの一夜の思い出のつもりみたいだし。

俺を吹っ切れたなら助かったわ。




先輩のあの戸惑いの声。

部屋に二人きりで、何かがあったって別段おかしくないし。


良かった良かった。

これで俺も気が楽になる―――…









―――なんて。

だとしても、仕事の話があるって伝えたのに、かけ直しもしない先輩になんだかムカついた。


男が出来ると仕事人間は変わるのか?




それとも、先輩は俺の事、本当は好きじゃなかった?




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