そして 君は 恋に落ちた。

「……んぱい」



フワフワ、宙を浮くような―――



「春日先輩」



私、どうしたんだっけ………?




「先輩、水飲んで下さい」




ゆっくり目を開くと、ドアップの彼の顔。


……あれ?私……



「大丈夫ですか?」

心配そうに私を見る彼に、やっと思い出した。


……酔い潰れたのだ。


そんなフラフラの私を連れ出して、酔い醒ましのつもりで外の冷たい空気に当ててくれたんだ。きっと。


「……ごめんね。飲み過ぎたみたい…」

「いえ。ピッチ早かったので早く止めれば良かったんですけど……すみません」


申し訳無さそうに眉を下げる彼に、何も構えず一言、告げた。



「……抱いて…」





目を見開く松田君。


耳に入るのは、少し離れた道路からのクラクションの音。

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