そして 君は 恋に落ちた。



「あー、ビックリした!松田君かぁ」

「ははっ 声がしたんで驚かせたくて」

「やめてよぉ!」


笑いながらも笑顔が引きつる二人は、挙動不審なまま、たいして飲んでないジュースを流しに捨て「じゃーね」と休憩ルームを後にした。


……聞かれたくないならあんな声で話さなきゃいいのに。



やっとコーラを飲めると自販機にお金を入れコーラのボタンを押そうとすると―――

「お!松田君じゃん」



……本当にこの人は。

何で毎回タイミング良く現れるかな。


正直、無視してしまいたい気持ち100パーセントだけど。グッと我慢し振り向いた。



「お疲れ様です。戻ったんですか?」


瀬川さんは俺の隣に並び「さっきねー」とコーヒーを押した。

ガコンと大きな音がして瀬川さんは長い体を窮屈そうに折り曲げ缶コーヒーを取る。そして、


「松田はなに飲むの?」


笑顔で聞きながら、自販機にお金を投入した。




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