そして 君は 恋に落ちた。


「松田君……お願い。

 一度だけでいい……私を……」



街灯の下の彼は、とても綺麗な顔をしていて。


その表情は読み取れなかった。




だから、もう一度告げた。



「お願い……ちゃんと思い出にするから……」






酒焼けで掠れた声。


きっと、化粧もドロドロだ。



せっかく今夜のために丁寧にしたのに………








そんなことを考えてる私を見下ろしながら、彼は

「……立てますか?」

と聞いてきた。




その表情は、真顔だ。

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