そして 君は 恋に落ちた。




「どうして?」


俺の問いかけに、見開いた瞳がみるみる潤みはじめて―――


「…やっ」


腕を俺の背中に引き、彼女の耳元で囁いた。



「ダメですよ。

 もう、離せない」


とろけるほど、

甘く甘く、響かせて―――…











「フ、……ンン………ハァ…」



鼻から抜ける、甘い吐息。


ここが会社の給湯室で、誰が来てもおかしくない状況なのに、離せない。



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