そして 君は 恋に落ちた。



「……放して…っ」


背中には壁。
目の前には松田君。

私は体をひねりながら逃げようともがく。




松田君は、心だけじゃなく体まで縛るの……?

そんなの辛いだけなのに……
悲しいだけなのに。


それでも、歓喜している自分に……ゾッとした。






「……お願い、だから…」


―――助けてほしい。

もう、解放してほしい。


アナタが好きだから。

だから、一番離れた場所でアナタを忘れていきたいの。






私の願いむなしく―――

彼は抱き締めていた手を緩めることなく、私の後頭部に手を当てると噛みつくように唇を合わせた。


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