そして 君は 恋に落ちた。
「―――っ」
何で…っ
「……やっ」
逃げようと顔を背けてもすぐに捕まり、また私から、呼吸も何もかもを奪う。
絡め取るように私の口内を動き回る彼のモノに、私は逃げることも出来なくて。
彼からの刺激に、すでに体中の力が抜けていた。
「……美和さん…」
甘い吐息とともに、ゆっくり吐き出された私の名前。
知らず知らず掴んでいた彼のシャツを掴む手が、一瞬緩んだ。
「…や、だ……」
下の名前を呼ばれて。
その慣れない響きに、思いの外嬉しくて。
嬉しさを隠すように、彼の胸に額を当て見えないように顔を隠した。――けど。
きっと、彼は気づいてるんだ。
松田君は笑いを含んだ声で、
「……可愛すぎ」
と呟くと、私の顔をガッチリ掴み無理矢理顔を上げさせた。
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