そして 君は 恋に落ちた。



「松田く…ンッ」



私の必死の叫びにも彼は動じなくて。半ば無理矢理開いたシャツの中に顔を埋め、右手で腰をグイッと抑えつけた。

壁に押しつけられた体を逃がすことが出来なくて、激しく与えられる刺激に涙が溢れる。



「……泣くほど嫌なの?」


不意に、胸元から顔を上げた彼。
屈めていた体を起こし、今度は私を見下ろした。



「………」

嫌、じゃなくて。そうじゃなくて。
あなたの気持ちを知りたいの。

その想いを言葉にのせるのは、難しくて…―――



黙る私の涙に、ゆっくり彼は唇を当てる。

その行為が余りに優しくて。
強ばっていた体がゆっくり解けていく……。






「好きです」



唇を耳元に寄せ、囁いた言葉。

クラクラしていた思考がクリアになる。


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