そして 君は 恋に落ちた。
いま、なんて言った……?
耳元からゆっくり顔を離した松田君。
放心状態の私は彼をただ見上げていた。
彼は少し目線を私に合わせると、グイッと顔を近づける。
それにビクリと体を跳ねらせ限界まで背中を壁にピタリとくっつけた。
彼はジッと私に目を合わせたまま、
「小林さんであろうと瀬川さんであろうと」
言って、私の頬に手を当て、
「アナタをみすみす渡す気はありません」
言われた言葉を理解する前に―――
「んんッ」
頬にあった手を滑らせ後頭部を包むと、唇を乱暴に合わせた。
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