そして 君は 恋に落ちた。




……彼は今なんて言った?

私を『好きです』って、そう言ったの??


それとも、都合のいい幻覚……?












深く深く入り込む彼の舌に翻弄され立ってるのもやっとの私は、知らず知らず彼の胸元にしがみついていた。

呼吸もまばらで。
酸素が頭に行き渡らず、思考も低下してる。


耳に入る唇を合わせる二人の水音と、彼が私の体を撫でる衣擦れの音が一層私の頭をぐらつかせた。



唇が離れた時には二人の息も上がり、玄関に響くのは「ハァ…、ハァ…」と、二人必死に整える呼吸の音だけ。



少し俯き気味の私は彼の肩に頭をつけ必死に息を整える、けど――


彼は待ってはくれない。


< 339 / 378 >

この作品をシェア

pagetop