そして 君は 恋に落ちた。
……彼は今なんて言った?
私を『好きです』って、そう言ったの??
それとも、都合のいい幻覚……?
深く深く入り込む彼の舌に翻弄され立ってるのもやっとの私は、知らず知らず彼の胸元にしがみついていた。
呼吸もまばらで。
酸素が頭に行き渡らず、思考も低下してる。
耳に入る唇を合わせる二人の水音と、彼が私の体を撫でる衣擦れの音が一層私の頭をぐらつかせた。
唇が離れた時には二人の息も上がり、玄関に響くのは「ハァ…、ハァ…」と、二人必死に整える呼吸の音だけ。
少し俯き気味の私は彼の肩に頭をつけ必死に息を整える、けど――
彼は待ってはくれない。
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