そして 君は 恋に落ちた。


「そうですね」


そう言った彼の感情の読めない表情と声に、一度息を浅く吸った。


「……松田君、いつ来たの…?」

小さな声になってしまって。不安げな自分の声にさらに胸のドキドキが加速する。



「昨日の23時過ぎですね」


答えながら向かいに座る彼に目を離せない。

……だって、やっぱり不機嫌な気がする。



「なん…」

「瀬川さんと小林さんからメールが来たんです。
 開いたら、あなたがベッドに俯せで幸せそうに寝ている写真があって」


私の『何で』に被せるように説明した内容に、顔面蒼白。

彼はそんな私を見ず、サンドイッチの袋を破く。


「……びっくりしました。
 まさかこの部屋に二人いると思いませんでしたし」


……怒ってます。間違いなく……


「……ごめ」

「いいですよ、別に。あなたと二人きりじゃなかったですしね」



< 358 / 378 >

この作品をシェア

pagetop