そして 君は 恋に落ちた。



ニッコリ笑いながら自然に手を恋人繋ぎにした彼は、馴れたもの。


「……松田君のウチでいいよ」

言ってすぐ、恥ずかしくて顔を前に向けた。




それからスーパーで買い物をして、松田君のマンションのマンションに着いた。
エレベーターを待っていると、エントランスから話し声が近づいてくる。

住人かと思い松田君の影に隠れようと体をずらしたら……

「お、松田じゃん。
お疲れさん!」


野太い声で話しかけてきた。



「林原か。藤井さんは?」

「いまポストの中身見てる。あ、来た」


二人の会話の登場名に俯いていた顔を上げると、今日の朝も見た彼女が来た。


「こんばんは」

横髪を耳にかけニッコリ笑う彼女は、いつもと変わらぬ笑顔で私と松田君を見た。


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