そして 君は 恋に落ちた。

「買い物行くだろ?」

「うん」

「まだ水曜だから深酒はしんどいな。
 買い物終わったら呑まずにメシだけにするか」


エレベーターの中は私と瀬川君だけ。

彼の提案にカラ返事した。





……感じ悪かったかな。

さっきの彼の表情が私の頭をよぎった。


でも、何を言われるのか分からないし。

……仕事の話でもなさそうよね。



「ハルヒ」


呼ばれて、隣の瀬川君を見た。



「眉間にしわ」

言って、私の眉間をぐりぐり人差し指でほぐす。



「……痛いよ」

「アラサーがシワを増やす行為を止めてやったんだ。感謝しろ」


ニッと笑ってエレベーターを降りた彼を「もう!」と言いながら追い掛ける。

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