そして 君は 恋に落ちた。
今まで入ったことのないブティックに入っていく。
瀬川君が入った瞬間、店員さんの動きが止まる。
正直、目立たないように服を選びたいのに。
店員さんは代わる代わる服を持ってきては彼に勧める。
……それって私が着るんだよね。
彼は持ってきた服と私を交互に見ると、フッと哀れんだ目を見せる。
………ほんっとに感じ悪い。
そんな中、彼のお眼鏡に適った服をレジに次から次へと運ばせた。
その数に、ギョッとする。
「瀬川君!いくらなんでもそんなに買えないよ!」
小さな声で抗議すると、「大丈夫」と言ってさらに服を選び始めた。
「いや…」
「何が?」と聞きたかったが。
店員さんと一緒に楽しそうに選んでる彼に、それ以上言えなくて。
小さく息を吐くと財布の中のカードを探した。
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