そして 君は 恋に落ちた。

「アイツすげーモテるよな」

「……そうなの?」

「うちの部署でかなりな人気。俺の次に、だけど」


軽く自慢した彼は無視して。

だんだん離れていく松田君の後ろ姿を見ていた。



「とりあえず早くメシにしよう。腹減った!」

瀬川君の言葉に、慌てて前を見ると、よっぽどお腹が空いていたのか、彼はスタスタ歩き始めていた。
それを慌てて追いかける。




結局、少し歩いた場所にある小料理屋に入り、二人お酒よりも食事中心に食べた。


そういえば、瀬川君と一緒にいてお酒飲まないのは初めてだ。



「明日はちゃんとメイクもしろよ。あとコンタクトも」

「……分かってるよ」

「チェックしに行くからな」

「止めてよ!瀬川君来ると私への風当たり強くなるんだから」


「知ってるよ」



―――私が手にしていた箸がボキッと折れた瞬間だ。

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