そして 君は 恋に落ちた。


「……まだ20分あるわね。
 先に戻ってて?」


正直、デスクで時間ギリギリまで寝ていたい。……が、松田君が居る手前そんな事できるはずもなく。

食堂を出てエレベーターに乗ったが慌てて開くボタンを押した。




「あれ?えっ?

 もしかして春日?!」


エレベーターから出ようと一歩踏み出した私を呼び止める声。

急な出来事に一歩後ずさるとエレベーターのドアが閉まった。



「いや、マジで分かんなかった!
 コンタクトにしたんだ?すごい似合ってるよ」


間髪入れずに話すのは瀬、川君と同じ営業の小林君。私と瀬川君の同期。



「ありがとう」


「噂にはなってたけど、いいじゃん。

 なんだ、とうとう彼氏でもできた?」


……悪気無いのは分かる。挨拶程度の言葉だとも。でも……


「んー、でも色気が足りないなぁ。
 沢山愛して貰いなよ。そしたら嫌でも色気はついてくるから」


――デリカシー無さ過ぎだよっ!

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