そして 君は 恋に落ちた。

「近いうち飲みに行こう」


「いや、遠慮します」


「遠慮なんかするなよ」


「瀬川君と一緒に飲みに行くのでも女子怖いのに、小林君までってなったらいよいよ苛められるわ」


「ははっ 春日苛められるよーな弱さ無いだろ」


「……とにかく、遠慮します」


「瀬川とは行くくせに」


「口尖らせても可愛くないわよ」


「ははっ 俺の可愛さに動かねーの春日くらいだよ!

 マジで飲みいこ!二人じゃなくて、同期みんなで!」


「……はいはい」



エレベーターはとっくに4階に到着してるのに、中々降りてくれない小林君。

私が半ばいい加減に返事をしていると、彼も気づいたのか笑いながらエレベーターから出た。


ゆっくりドアが閉まる、その時。


「色気出すには惚れた男に抱かれるのが早いよ」


ニヤリと笑い手を振る彼。

同時にドアが閉まり、5階へと動き出した。



……私と松田君を乗せて。


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