そして 君は 恋に落ちた。
「松田君、もう時間が…」
昼休憩終了まであと10分を切っていた。
私の言葉を完全に無視し彼は前をスタスタ歩く。
私の手を掴んだまま。
「入って下さい」
「えっ ここって…」
「今日はこの部屋使われません。もう時間無いんで、早く」
そう言って少し強引に腕を引かれ、急かされるまま入った部屋は、小会議室。
鍵もかける必要無いくらいに忘れ去られてる場所で。私用目的で入るのは戸惑われ、居づらい。
そんな私に気づいたのか、彼は少し強引に手を引きそのままドアの前に立ち鍵をかける。
「松田君…?」
彼と二年共に仕事をしてきたけど、こんな行動をする人じゃない。
ましてや、笑顔もなく強引にこんな場所に連れてくるなんて……
私の戸惑いに気づいてないのか、彼は真顔で私を見下ろした。
その目線に、途端に固まる体。
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