そして 君は 恋に落ちた。



「……ん…っ」



彼の温もりを唇で受け止めながら、足が震えた。

そんな私を、彼は角度を変え腰に手を回し、しっかり抱き締める。



だんだん深くなる口づけに、思考が白くなっていく―――…






「……ハ、ァ……ンン……」



鼻から抜ける吐息。

ここが職場だと気付いても、彼から与えられる刺激に力は抜けるばかりで。




「……ふっ」



しばらくそうしていると、唇が離れた瞬間、彼が小さく笑った。

その吐息が私の唇に当たり「ん…」と甘い声が出てしまった。




「……甘い…」



――何が?


なんて、聞こうとした瞬間また口を塞がれて。


松田君のワイシャツを思わず掴む。

そうでもしないと、立っていられない。

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