そして 君は 恋に落ちた。

「先輩…」


彼の掠れた声に、体が揺れる。


……私はどこにいるの……?








「それじゃあ、先に戻ります。

 課長に伝えますから、化粧室行って戻って下さい」


彼の支えがなくなった途端に崩れ落ちる私の体。

そんな私を置き去りに、彼はワイシャツを直すとそのままドアに向かった。



「……最低…」


小さな呟きは閉まったドアにぶつかる。


……彼に聞こえなくて良かった。


“最低”。

その言葉は彼に言った訳じゃなく、私自身に向けた言葉だから。




好きでもない男に抱かれて、今また次のステップの為に唇を合わせる。


男の体を知った私は、その刺激に反応して拒むこともできない。



……なんて醜いの。私は―――…

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