そして 君は 恋に落ちた。
駆け足で駅の階段を上る。
瀬川君のことだ。
相手を知るために、ダッシュで私を捕まえに来るだろう。
―――全力で逃げてやるッ
まだ履き慣れないヒールに何度も転びそうになりながら、それでも足を進めた。
全ては、彼から逃げるため。
改札を抜けホームに出ると、ちょうど電車が来たときだった。
迷わず飛び乗り閉まるドアに体を預け、ひたすら息を整えた。
……何とか逃げ切れた…!
危うく松田君とかち合う所だったよね…。
今日の相手が彼なんて知られた日には……
「無理無理!絶対無理!」
想像しただけでも怖ろしい…!
しばらく電車に揺られていると、駅に着いた。
まだまだ乗っていたい気持ちを抑えつつ、ホームに下り立つ。と、同時に大きく深呼吸をする。
……よし! 行きますかっ!
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