そして 君は 恋に落ちた。




「教えて下さい。先輩」



甘い、声。

その声を、吐息を、耳で感じながらゆっくりお尻を撫でたら―――


「ほら、答えて下さい」


もう、抵抗出来ない……。




いつの間にか両手は自由になっていて。なのに、膝に力が入らない私は彼のシャツを掴んだまま呼吸を整えるだけで精一杯。

そんな私を見下ろしていた彼は、掬うように私の唇に食べるようなキスをしてきた。


長く細い指で私の顎を掴み、人差し指の爪でゆっくり撫でられたら――…


「―――ふ、……んっ」


「チュ… ほら、教えて下さい。
 金曜は、瀬川さんと、何をしていたんですか…?」


「……ッ」



リップ音を生みながら唇を離し、そのまま私の首に触れるか触れないかのギリギリの距離で話す、彼はズルい。


そんな事をされて。抵抗するだけの力なんてもう残ってない。


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