そして 君は 恋に落ちた。
「ま、……だ、く…ンッ」
ズルズルずり落ちながらも、彼は私を放してくれない。
纏めた髪がボロボロになるのに気付いても、何も出来ない―――…
「ハァ……も、ダメ…ッ」
「先輩エロいね。
痛みで感じるんだ?」
「――…アッ」
一際高い声をあげた瞬間―――…自分から彼に口付けていた。
「………すみません…」
「………」
乱れた髪と服を直していると、後ろから今にも消えてしまいそうな、小さな声で松田君が言った。
ゆっくり振り返ると、壁により掛かり着衣は乱れたままの彼が俯き座っていた。
どうして……乱暴された私よりも君の方が傷ついてるの…?
「……私、先に戻るわね」
怠い体を引きずるように歩きドアに手をかけたとき―――
「先輩……本当に俺を好き…?」
彼の質問に答えることなく、ドアを閉めた―――
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