そして 君は 恋に落ちた。

「な、ななな」

「あ?大丈夫か?疲れてんのか?もしかして」

「違う! 7階って何!」


今日二度目の7階拉致に嫌な予感しかしない。



「あー あれさ、あんまり人に知られたくないだろうと思ってさ」

「……何を?」

「んー………俺と居るのを?」



「………は?」



ついさっき一番知られたくない人に知られましたけどっ?!




エレベーターは7階についた音を鳴らしドアを開けた。

瀬川君はそれ以上口を開かずに私の手を掴んだまま廊下を突き進む。



「ね、どこに行くの?」

今日のお昼松田君に連れられた小会議室を通り過ぎ、さらに奥にある扉の前で立ち止まった。


……流石に鍵かかってるでしょ。


そこは、役員会議等に使われる、一番大きな会議室だった。





「瀬川君、流石にここは鍵かかってるでしょ?」


………が。私が言い終わる前に彼はジャケットのポケットから何かを取り出した。

< 87 / 378 >

この作品をシェア

pagetop