そして 君は 恋に落ちた。

「おせーよ」



ドアを開けたら睨みを利かせた小林君が居ないことを願ってました。けど………まだいらっしゃったのですね。



「ごめんなさい」

―――何で私が謝らなきゃいけないんだろう。なーんて事は、思いません。


だって、目の前の彼は悪魔だから。




「鍵閉めるから出ろ」


幼い顔に似合わずドスの利いた声で私に命令する小林君に、私はドアまで駆け足で向かった。

急かした彼はゆっくり歩く。



「春日は瀬川と帰んのか？」


会議室の鍵を閉めた小林君は、さっきの声色とは違う、何でもないことのように聞いてきた。

でも、彼の気持ちを知ってる私は、エレベーターに向かう彼の後ろ姿を目にしながら返事に困った。



「えっと……瀬川君と約束したわけじゃないから、私は先に帰る」



別に気を使った訳じゃなくて、疲れがMAXな私は何よりも早く帰りたくて。

でも、小林君はエレベーターのボタンを押しながら、

「とりあえず瀬川と呑み行くぞ」


と、なぜか私の発言を無視した。


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