そして 君は 恋に落ちた。
「小林君、次で降りるから起きて」
外から見たら抱き締めるような格好で寝ている小林君。なのに少しもドキドキしないのは何でかな……
うぅん…と言いながら目を開いた小林君は、近すぎる位置の私に驚き一気に目を覚ました。
私は状況を説明する代わりに、もう一度確認する。
「本当に家に泊まるの?
たしか小林君の家この先だよね?
家帰った方が良くない?」
その言葉に、小林君はあちゃーという表情の後、小さく「家まで無理。泊めて」と言った。
仕方ねーなぁー!
「じゃあ、降りて」
ちょうど駅に着き、人をかき分けて電車から降りた。が、小林君はフラフラで立つのもやっとだ。
「…っ あぶないってば!」
ホームで後ろから来る人にぶつかり危うく倒れそうになる。
階段を降りるのを諦め、エレベーターで降りることにした。
その間も、小林君は夢と現実を行ったり来たりし、私に寄りかかったまま寝息をたてる。
「せ、がわ……明日…お、ぼ、え、て、ろ…よぉ!」
―――小林君!重いよ!
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