ある晴れた日に…
「…ん…」
少女は苦し気に呻き、手の甲の模様を撫でた。
「……行きましょう、父上がお待ちだ」
少年は先程までの口調とは一変し、今度は明確な意思を持って浜辺を進み始めた。
「small king(弟)…父上は何処に…?」
手の甲の模様は紅く、まるでその部分だけが別の生物のように蠢いている。
「この先です。…父上は今も、この先でlittle princesを待っています」
「そう…」
浜辺に伸びるは、何年か後に生み出される予定のふたつの影法師。
少年と少女の首筋にあるのは『原罪人』の産み落としたふたりの幼子の証。
………悲劇は、終わらない。