林檎好きな彼 [短]
『いっ…いいです』
「もしかして、林檎嫌い?」
『あの…そう言う訳じゃ…』
「じゃあ あげる!」
先輩は 私の手のひらに
ウサギ形の林檎を置いた。
『ありがとうごさいま…す。』
私は一口林檎を 口に入れた。
―シャリ。
噛めば噛む程 口の中で蜜の甘みが広がっていった。
「どうどう? 美味しいでしょ?」
『はい。すごく美味しいです』
「良かった~!なぁ、明日の昼休みも此処にいる?」
『はい。』
「じゃあ明日、婆ちゃん家の林檎食わせてやるよ!」
先輩はそう言うと、
走って帰ってしまった。