あさきゆめみし
はっ、と飛び起きるとそこは自室のベッドの上。
非常ベルと思っていたのは昨夜セットしていた目覚まし時計だったらしく、頭元でけたたましく不快な音を鳴らしていた。
「…またあの夢か。」
ハァ、とため息をついて、さっきの夢を振り払うように頭をガシガシと掻き乱す。
カラカラになってしまっていた喉を潤そうと、台所へ向かっていると放りっぱなしだった携帯がチカチカと光っていた。
ペットボトルから水を飲みながら携帯を開くと、そこにはすごい数の"不在着信あり"の文字。
驚きで口に入っている液体を噴きそうになりながら名前を確認すると、そこにはずらっと並ぶ上司の名前が。
「げっ…。」
時計を見ると、短い針は11時を指していた。
「やっちゃった…。」
完全な遅刻だ。
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