あたしだけのものだから
図書館
「ねえ、暑いしとりあえず図書館で涼まない?」
あまりの暑さに耐えかねてあたしは美智に提案する。
「いいよ、近いし」
滴る汗をタオルで拭きながら美智も賛成した。
そうして図書館に着いたが、あまり本を読まないあたしはこんなところにくるのが小学生以来なので、思わずテンションが上がってしまう。
「わああ、久々だ、超涼しい!」
目を輝かせながらあたしがそう言うと
「うるさい、図書館では静かに。」
本日3度目の「うるさい」が飛んで来る。
まあほんとに久々の図書館だし、たまには本読もうっと!
「じゃあ美智、あたし本選んで来るから!」
「あ、うん、わかった。私も選んでくる。」
何読もうかなあ、うーん。
悩みながら本棚に目を通していく。
あ、これにしようかな。
と、ある本に手を伸ばそうとしたとき、あたしの右隣からもその本を取ろうと同じように手を伸ばす同い年くらいの男の子がいた。
「あ、ごめんなさい、どうぞ。」
そう言ってあたしは彼に本を渡そうとするが、
「いや、いいです先読んで下さい」
微笑みながら断られてしまった。
彼は、少し長めの前髪に、綺麗な黒髪。目は切れ長で、まさに美少年、という感じだった。
そんな彼にあたしは、一目惚れしてしまった。