トリガーポイント
褒められてる気が全くしない…。
そう思ったものの、
隣りで飲む泰治さんは私の飲む様子を見て、
穏やかに笑っていたので、まぁいっかと思ったりした。
「ケアマネ。
受かったんですか?
でも、実務5年て…?」
(☆説明:ケアマネージャーになるには介護の現場で丸5年の実務経験が必要になります。
大学を卒業して5年目の泰治にはまだ実務が足りないのでは…?
と亜優が聞いています。)


「アユ太郎は知らなかったんだっけ?
おれ、実は社会人入学だったんだよね。
だから、アユ太郎より5こも年上なんだよ。」

「泰治は無駄に年くってるからね~。
何このあごひげ!」


えりりんが泰治さんのあごひげを思い切り引っ張った。

「何すんだよっ。
プロピアだってしっかりくっついてるから痛ぇんだよ!」

プロピア…?
プロピアってあの??

「なっ。アユ太郎。
カッコいいだろ?」

泰治さんにそう聞かれて、私は勢いよく首を横に振った。

そんな私の反応を無視して、泰治さんは誇らしげに語った。
「さすがに、じいちゃんやばぁちゃん達の前で髭は伸ばせないから買ったんだ。」


本当に変な人だ。
あごひげ生やしたいからってプロピアを購入するとは…。
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