トリガーポイント
「あら小娘。やっと顔出しに来たの?」

大和くんと一緒に来たのはえりりんのお店だった。


「えりのとこはいっつも暇だからちょうどいいんだ。
えり、俺ビール。亜優は?」


「私も生。大ジョッキで。」


2人きりで飲みに来れたのはすごく嬉しいけどえりりんのお店じゃ2人じゃないじゃん…。


そんな私の不満をよそに目の前にビールが置かれた。

飲んでやる…。


「亜優。良かったのか?」


「何が?」

生大を半分ほど飲み終えたところで、大和くんが話を切り出した。

「仕事。須賀から聞いたんだけど、なんたらって新しい資格取れたばっかりだったんだろ?」


「精神保健福祉士だよ。大和くん。
確かに取れたばかりではあったけど、
ばぁが肺がんになっていてもたってもいられなかったんだよね…

どうせなら最期まで一緒にいたい。
仕事はいいんだよ。

病院の相談員の仕事は資格があるからいつか戻れるよ。」


複雑な表情の大和くんを無視して私は残りのビールを飲み干した。
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