私が死んだら、1つの命が助かった。
私が死んだら、1つの命が助かった。
…………………………
「ヒヨリ!」
後ろから聞き慣れた声が私の名を呼ぶ。
門を閉めてからそれを振り返ると、見慣れたヤツの顔。
「お前、いっつもおせぇよ」
「あんたが早いだけじゃない?」
隣の家に住む慶一。
慶一は昔から家同士仲良かったし、私達も幼稚園の頃には劣るが、まだ仲の良い幼馴染だ。
「あきらか、お前がおせぇだろ」
「はいはい、そーですネ」
「あ、おいコラ」
うるさい慶一を置いて学校に向かって1人歩き出す。
隣に追いついて来る慶一は、まぁ………かっこいい。
容姿は綺麗。
そのせいで幼馴染の私は利用されそうになり、嫉妬されたり、散々だ。
なのに、離れようとは思わない。
女友達も然程居ない私にとって慶一という存在は面倒でも、大切でしかない。
学校に近づくに連れ、制服を着た沢山の生徒が見えてくる。
慶一をデレッとだらしない顔で見つめる女子と、男子まで慶一をみる。
そして、女子は隣の私に羨望と嫉妬の目を向ける。
「よー、お2人さん」
校門に入ってすぐに肩にずっしりと重いモノがのっかる。