私が死んだら、1つの命が助かった。
ーーーーー
話の後、暴れ狂った。
自分の体じゃないみたいに勝手に動いて。
怒りを鎮めることは出来なかった。
だけど、疲れたのか自分でもわからないが寝た。
………何処だ?
そして、今、ここに居る。
真っ白で上下も左右も前後も無さそうな永遠と真っ白が続く世界。
気が狂いそうなほど眩しい白は俺の体を蝕む様に、俺の輪郭を取り去っていく。
「ーーーーーバカだね、慶一」
もう、一生聞けないものだと思っていた声が頭に響いた。
思わず、辺りを見わたした。
だけど、あいつの姿は無かった………
「慶一、私が臓器あげたからって、何?」
耳元で囁かれたような感じがして、そこから退くと、あいつの顔があった。
「………っ、ヒヨ…」
「………ホント、バカ。
私があげたいって言ってるのに、素直に受け取らない奴があるか。」
ヒヨリは俺の頬に手を這わせた。
「………私達が双子の姉弟だって言わなくて、ごめんね」
「何で………何で…っ………」
「………少しでも、夢を見ていたかったから、かな」
ヒヨリは俺の頬から手を離して両手をギュッと握ってきた。