私が死んだら、1つの命が助かった。
「なぁなー、ヒヨリ、慶一、今日帰りアイス食ってこーぜー」
「あー…パス」
「えー、何で?」
私が断ると、京介は不満気に眉を寄せた。
「金欠なの、今」
「慶一に払ってもらえよ」
「人にお金借りるの、嫌いなの」
「へー、意外」と物珍しそうに私を見る京介に若干イラつきを覚えながらごめん、と言っておいた。一応。
「じゃぁ、慶一も来ないねぇ」
「………」
黙りこくる慶一はあっていたみたいで、ビクともしない。
「じゃ、俺はマキちゃんと帰るかな~」
「遊び女と帰るとか、よく出来るね」
「まぁ、直接ラブホですし」
「死ねカス野郎」
照れたようにてへっとか言いながら体をよじらせる京介を冷めた目で見ると苦笑を返された。
慶一はずっと黙って俯いていた。