潔癖症の彼は、キスができるのですか?



大窪くんの横顔を見上げて、また胸が疼いた。


「小学二年から……ずっと?」

「そうだよ」


信じられない。こんなに一途な男の子って、今どきいるんだ。いや、大窪くんだから、思い続けてくれたんだ。


「ありがとう。嬉しい。でも、覚えてなくてごめんね」

「全然。再会できただけで、嬉しいから」


なんだか胸がくすぐったい。恋愛経験ゼロの私が、男の子とこんな会話をするなんて、不思議。


「定期検診、今でもうちのクリニックに来てるの?」

「うん。俺、山口さんのお母さんとは仲良しだよ」

「え!! じゃ、私たちのこと知ってるの!?」

「言ってないよ。俺と山口さんが同じクラスだってことも知らないから」


よ、よかった。親に恋沙汰を知られてたら、めちゃくちゃ恥ずかしいもん。



< 19 / 99 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop