潔癖症の彼は、キスができるのですか?
「あ、もうあの角を曲がったらうちだから、ここでいいよ。送ってくれてありがとう」
「うん。じゃ、また明日ね」
「うん」
私は大窪くんを見送るために、ずっと立ち止まったまま。でも、大窪くんも動こうとしない。
「見送るから、行きなよ」
「大窪くんこそ、帰りなよ。遅くなるよ」
「じゃ、一緒にバイバイね?」
「うん」
手をふって、お互い背を向けた。けど、すぐ振り返る私。大窪くんも、同じように振り返って、お互いプッと吹き出した。
「電話、先に切れないタイプ?」
「当たり。大窪くんも?」
「うん」
クスクス笑いながら、私は大窪くんの腕を握って、もうひとつの手は背中に添えた。
「ほら、帰って。あんまり遅くなると親が心配するよ」
「……じゃ、もう一度キスしていい?」
「え?」
な、なんで……?