潔癖症の彼は、キスができるのですか?



「大窪くん云々の前に、トイレの水だけは本当にやめて。私、着替えないから。水びだしになった私を先生や大窪くんが見たら、いじめだってばれるよ?」

「だーかーら! あんたがお口にチャックしとけばいいの! 転んで、排水溝に落ちたとかいくらでも言い訳はあるだろ?」


あるけど……。あるけど、トイレの水だけはやだ!


無理やり、両腕を掴まれて体育館のトイレに連れていかれる。


私は最後の賭けに出た。それは……。


「きゃ! いってー! 離せよ!!」


ひとりの女の子のみにターゲットを絞って、髪をおもいっきりひっぱった。すると、残りのふたりはやめさせようと声を荒げる。


この騒動に誰か気づいてくれたら……!


そう思ったのに……。


――バシャッ!!


便器にたまった水をバケツですくって、体全身にかけられた。


結局、私の抵抗は無駄に終わり、ただ相手の怒りに火をつけただけだった。



< 27 / 99 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop