潔癖症の彼は、キスができるのですか?
「大窪くん云々の前に、トイレの水だけは本当にやめて。私、着替えないから。水びだしになった私を先生や大窪くんが見たら、いじめだってばれるよ?」
「だーかーら! あんたがお口にチャックしとけばいいの! 転んで、排水溝に落ちたとかいくらでも言い訳はあるだろ?」
あるけど……。あるけど、トイレの水だけはやだ!
無理やり、両腕を掴まれて体育館のトイレに連れていかれる。
私は最後の賭けに出た。それは……。
「きゃ! いってー! 離せよ!!」
ひとりの女の子のみにターゲットを絞って、髪をおもいっきりひっぱった。すると、残りのふたりはやめさせようと声を荒げる。
この騒動に誰か気づいてくれたら……!
そう思ったのに……。
――バシャッ!!
便器にたまった水をバケツですくって、体全身にかけられた。
結局、私の抵抗は無駄に終わり、ただ相手の怒りに火をつけただけだった。