潔癖症の彼は、キスができるのですか?
「大人しそうな顔して、抵抗ばかりしやがって。裸写真だけは勘弁してやるから、マジでチクんなよ。チクったら、今日以上のことしてやっから」
そう言って、3人組はトイレから出ていった。
私はずぶ濡れになった制服を見て、ため息をつく。
「汚い……」
汚い、汚い、汚い。
水をかけられる前に砂まみれになっていたから、水と混ざって泥状になったものが髪にべったりとついている。抵抗した時に顔を殴られて、アザまでできていた。
これ、チクるなってほうが無理でしょ。
でも、この姿は誰にも見られたくない。どうやって、教室に帰ればいいの……?
スカートのポケットに入れていた携帯で、乱ちゃんにメールして、ジャージをここに持ってきてもらおう。私は震える手で、乱ちゃんにメールを送った。
すると、すぐに乱ちゃんが駆けつけてくれた。
「琴音!」
私の変わり果てた姿に、乱ちゃんは目を見開く。そして、ハンカチで顔を拭いてくれた。
「図書室からなかなか帰ってこないと思ったら、体育館のトイレにジャージを持ってきてなんてメールがくるからビックリしたじゃん」
「……ごめん」
「琴音は謝らなくていいんだよ」