潔癖症の彼は、キスができるのですか?



「外に大窪くんが待ってるけど、入れていい?」

「え?」


なんで、大窪くんが……。


「メールが送られてきた時、一緒にいたから。大窪くんも心配して、一緒にここに来たんだよ」

「や、やだ!」


私は顔を横にふった。大窪くんには一番、こんな姿を見られたくないのに。


「ごめん。女子トイレだけど入るよ」


え……。


私たちの話し声が聞こえていたのか、大窪くんは、女子トイレに入ってくる。


そして、私の姿を見て、乱ちゃん同様、大きく目を見開いた。



「一体……誰に……やられたの?」

「………」


何も答えない私に、大窪くんは一歩ずつ近づいてくる。私は、顔を横にふって叫んだ。


「こ、来ないで! 汚いから! 今の私、泥まみれで、トイレの水かけられて、最高に汚いから近づいちゃダメ……」


言い終わる前に、大窪くんは私の腕を掴んで、ギュッと強く抱き締めた。


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