潔癖症の彼は、キスができるのですか?



「……ありがとう。いきなり校長室に呼び出されてビックリしちゃった」

「この学校で一番権限のあるトップに、直接話したほうが早いと思って。勝手なことしてごめん」

「全然! 嬉しかったよ。大窪くんがあの場にいてくれて、すごく頼もしかった……」


私ひとりじゃ、あそこまで話はもっていけなかったもん。


「だって、俺のせいで山口さんは傷つけられたんだから」

「え?」

「俺が原因なんでしょ?」


……な、なんで分かったの? よくうちの教室に来ている陸上部の女の子たちから連想して……?


「違うよ。なんか……私、トロいから見ててムカつくとか言われて」

「嘘、へただよね」

「……」


プッと吹き出して、大窪くんは悲しそうに笑った。その横顔を見て、ズキンと胸が痛む。


お願いだから、自分を責めないで……。



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