潔癖症の彼は、キスができるのですか?
ふたりで廊下を並んで歩いていると、目の前から私にトイレの水をかけたあの3人組が歩いてくる。
「あ……」
思わず、立ち止まってしまう私。3人組は、大窪くんと一緒にいる私を見て、鋭い目付きで睨み付けてくる。
大窪くんは、急に立ち止まる私と前から歩いてくる3人組を交互に見て、スッと顔つきが変わった。
それは、さっき校長室で見た時の顔より怖くて……ゾクリと鳥肌がたった。
「行こう」
大窪くんは、私の手を掴んで、歩く。そして、3人組と横切る時に、大窪くんが口を開いた。
「今回はお前ら、校則で罰せられるけど。次、山口さんを傷つけたら……」
低い声。本当に大窪くん?
「……俺が制裁してやる。女でも手加減しねーからな?」
私を睨み付けていた3人組は、その場に立ちすくむ。大窪くんの変貌ぶりに驚いて、そして、恐怖で動けないようだった。
私は大窪くんに握られた手に引かれ、前を向いて歩いた。