潔癖症の彼は、キスができるのですか?
試してみようか?
「え?」
「だから、大窪くんは好きな子とキスできるの?」
放課後。誰もいないオレンジ色に染まった2階の廊下。私は図書室へ本を借りに行った帰り。大窪くんは教室へ忘れ物を取りに帰る時に偶然出会った。
これはチャンスだと思い、大窪くんを呼び止めて、疑問に思っていたことを口にした。
「な、なんでそんなこと聞くわけ?」
大窪くんは、私の質問に最初は呆気にとられていたけど、我に返ると焦った表情に変わる。
「だってあれだけ潔癖だと、キスなんて気持ち悪いと思うんじゃないかなって」
体を触れられることさえ、イヤな素振りを見せるのに。唇同士を合わすことなんてできるのか。
好きな子は別?
じゃなきゃ、潔癖症の人はみんな、結婚できないか。