潔癖症の彼は、キスができるのですか?
きっと、髪はボサボサ。でも、この手は離したくない。
「あんな泥だらけで汚い私は触れたのに、こんなキレイなシーツのベッドはイヤだなんて、本当に大窪くんって変わってるよね」
「仕方ないじゃん。本能なんだから」
「うん。だから、嬉しいの」
私だけは特別。
私だけは大丈夫な大窪くんが……。
「好き。私を……大窪くんの彼女にしてください」
もう。
これ以上ないくらいの緊張の中。
きちんと自分の気持ちを言えたことが嬉しくて。
私は笑っているのに、大窪くんの瞳からは、一筋の涙がこぼれて頬に伝った。
「ど、どうしたの!?」
「あれ? ……俺、なんで泣いてるんだろ?」
「や、やっぱり頭の打ち所が悪かったんだよ! 横になって!」
「イヤだよ」
「せっかく両思いになれたのに、大窪くんに死なれたら私がイヤなの!」
私の言葉に大窪くんの動きがピタリと止まる。そして、涙をハンカチで拭いた。