潔癖症の彼は、キスができるのですか?
背中にまわされた腕。
すっぽりと体を大窪くんに包まれて、また大好きなゼラニウムの香りが制服からした。
精神的に落ち着く香り……。だけど今の私には効かない。
ドキドキしすぎて、窒息しちゃいそう。
「……大窪くん、そろそろ先生が帰ってくるかも」
もう少しこうしていたいけど、ここは保健室。誰が来てもおかしくない場所で、抱き合うのは違う意味で、ドキドキする。
体をソッと離すと、私の頬に唇をつけてキスをされる。
「っ!」
不意打ちキスはなしでしょ!? ファーストキスも不意打ちだったけど。
「山口さんがあの日、あんな質問してくれなかったら俺の初恋は成就しなかったかもしれない」
「え?」
優しい笑顔で、私の涙をハンカチで拭いてくれて今度は唇にキスを落とした。