潔癖症の彼は、キスができるのですか?
私がジィッと大窪くんを観察していると、大窪くんが顔を近づけてくる。
「試していい?」
はい?
「何を……」
――チュッ。
何がなんだかわからないまま、私の唇は大窪くんの唇とぶつかって。
すぐに離れたけど、顔を傾けて今度は長く唇を塞がれた。
「――っ!!」
な、な、何してくれてんのよー!!!!
大窪くんの胸を押して、ゴキブリなみの速さで後ろに退く私。
「な、なんで……キ、キスなんか……」
あまりに、人間驚くと、言葉が出ないんだ。かみかみだ。パニくってるんだから、無理もないけど。
大窪くんは親指と人差し指で唇を挟むと、首をかしげる。
「やっぱりイヤじゃなかった」
「は!? 意味わかんないよ。勝手に自己解決しないで、きちんと説明してよ!!」
「好きな子とキスしても全然平気だったよ」
「……好きな子?」
「うん。俺、山口さんのこと好きなんだ」