潔癖症の彼は、キスができるのですか?
俺、極上のSなの
放課後。
連絡先も知らない私は、夏樹の学校まで行く予定だったけど、校門前に夏樹が待ち構えていて、私も大窪くんも、その場でかたまってしまった。
「朝は琴音ちゃんが来てくれたんだから、夕方は俺が来なきゃね~。結構、紳士でしょ?」
紳士な奴が、お金まきあげるか! 初対面でキスするか! 怒鳴ってやりたいけど、隣には大窪くんがいるから我慢。
「行く手間が省けてよかった。近くに公園があるから、そこで話そう。じゃ、大窪くん」
「うん。またね」
私は、大窪くんに手を振って、夏樹と距離をとって、歩いた。
「彼氏、あっさり、行かせてくれたね。意外~。ふたりっきりはダメって言うかと思った」
「彼氏に聞かせられるような話じゃないでしょ!」
「それもそうだね~。あはは~」
あははじゃねーよ! ムカつくわ、この男。その後は何を聞かれても無言。シカト。早く終わらせたい私は、自然と早歩きになり、目的地の小さな公園にあっという間に着いた。
「ベンチにでも座る~?」
「夏樹くんだけどうぞ」
「じゃ、遠慮なく」
夏樹はベンチに座って、私は夏樹の斜め前に立つ。女の子を立たせて、自分だけ座るなんて、本当に紳士のかけらもないわ。
「早速だけど、今朝の話の続き。本当にスマホとパソコンにウイルスを感染させて、あのキス写真を消すことができるの?」
「できるよ~。証明してほしかったら、琴音ちゃんの携帯にしてみせようか?」
「い、いい! 分かった。夏樹くんが他人のパソコンにハッキングして、写真を消すことができるということは信じる」
「で、琴音ちゃんは処女?」
「…………」
へ、変態め。お金がないからって、こんな質問してくるなんて、まじで最低。でも、もうこの方法しかない。
「……処女だよ」