潔癖症の彼は、キスができるのですか?
「私、今回の件、許せないの。お金を使って、夏樹くんに私とキスさせて。その写真をばまらかれたくなかったら別れろなんて……。元凶は道岡さんだけど、夏樹くんのその後の対応も許せない。だから、警察に行く」
「彼氏に全部ばれちゃうよ」
「構わない。隙がありすぎるって怒られるかもしれないけど、きっと大窪くんは私の一番の味方になってくれる」
「なんでそんなこと言い切れるの~?」
「私のこと、守ってくれたから。警察の被害届だって、彼の受け売り。学校で私が三人の女子から暴力ふるわれた時、校長先生に臆することなく啖呵きったんだよ」
そう。大窪くんは絶対に一番に私を信じて、誰がなんと言おうと守ってくれる。
「ふーん。他人のノロケ話はいいや~。ここからは、彼氏も同席?」
「え?」
後ろを振り返ると、大窪くんがこちら側に歩いてくる。そして、私の肩を自分の胸へと引き寄せた。
「もうとっくに5分過ぎてるよ。話は終わった?」
「うん。大窪くん、帰ろう」
「え、は、ちょっと待ってよ!」
私たちが帰ろうとすると、慌てて夏樹はベンチから立ち上がる。今まで余裕たっぷりの態度を見せていた夏樹が、焦った表情をしていて、心の中でざまーみろと毒を吐いた。
私、性格、悪くなってきたかも……。